採用成功の鍵:ハローワークインターネットサービス(HWIS)超活用術

応募数を増やすための求人票作成の極意(人事担当者・経営者向け)

ハローワークインターネットサービス(HWIS)は、今や求職活動の主戦場の一つです。

単に求人を掲載するだけでなく、「応募数アップ」を目指すためには、求職者の行動変化に合わせた戦略的な情報発信が不可欠です。

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1. 変化する労働市場と採用活動の見直し

地域労働市場の現状と課題

全国的に多くの地域で人手不足が深刻化しています。有効求人倍率の全国平均は、令和7年1月時点で1.26倍となっており、企業側が「選ばれる立場」にある状況が続いています。産業別では、全産業を平均した有効求人倍率を大きく上回る業種が存在します。

人材確保対策の強化分野 「人材確保対策総合推進事業」に基づき、医療、介護、保育、建設、警備、運輸といった特定の業種に対しては、支援が強化されています。これは、事業所に対する助言や指導、求人作成・充足に向けた支援、および業界団体との連携によるイベントやセミナーの開催などを通じて行われています。

なわ社労士のコメント! (市場編)

有効求人倍率が1倍を超える状況は、企業側が「選ばれる立場」にあることを明確に示しています。インターネット検索においては、求職者は大量の求人から瞬時に取捨選択を行います。従来の紙の求人票の感覚ではなく、「ネットで目を引く」ための情報設計が、採用成功への第一歩です。

採用活動に迫られる変化 現在の採用活動では、以下の状況から、採用活動の見直しが強く求められています:

転職希望者の減少 労働力人口のうち若年者層の減少 ハローワークの窓口利用者の高齢化 在職中の潜在的な転職希望者の存在

今や仕事探しはインターネットが主流であり、在職中の潜在的な求職者も含め、多くの方がHWISや民間の求人集約サイトを利用しています。

2. 応募者対応を効率化するHWISの機能

HWISとは

HWISは、ハローワークに求人をお申し込みいただくと、全国500カ所以上のハローワークやハローワークインターネットサービスを通じて広く公開することができる仕組みです。

求人者マイページの活用 応募数を増やすためには、「求人者マイページ」の開設が非常に重要です。マイページを開設することで、ハローワークに来所せずに求人の申込や変更、取消などが可能になります。

マイページで可能な主な機能 求人申込(求人内容の変更、取消等) 求職者マイページからの応募の受付(オンラインハローワーク紹介) 応募状況の管理 応募者とのメッセージ送受信や選考結果の連絡 求職者情報の検索・直接リクエストなど 事業所画像情報の登録

なわ社労士のコメント! (マイページ編)

マイページ機能を活用し、応募者とのメッセージ送受信や選考結果の連絡を迅速に行うことで、求職者体験(CX)が向上し、企業への信頼感につながります。求人情報だけでなく、応募プロセス全体で差をつけましょう。

3. 選ばれる求人票にするための戦略的工夫

求人検索に課題を感じている求職者は多く、求人が多すぎてネット検索に時間がかかるため、HWISを積極的に活用するには、以下の点が重要となります。

求職者にとって、目に留まりやすい求人を作成する。 求職者が希望する職種や働き方も多様化しているため、「働きたいと思ってもらえる内容と表現」の工夫をする。

戦略の4要素 選ばれる求人票にするために、以下の4つの要素を意識しましょう:

求める人物像の明確化 仕事内容が具体的にイメージできるか 競合他社との差別化を図り、自社の魅力を伝える 画像情報で会社の雰囲気を視覚的に伝える

求める人物像の明確化がマスト インターネットを活用する際は、「求める人物像の明確化」がマストです。

例えば、契約社員と正社員を一つの求人票で募集したり、経験者と未経験者を併募したりすると、検索にヒットされにくくなったり、応募につながりにくい可能性があります。

なわ社労士のコメント! (明確化編)

多くの層にアピールしたい気持ちは理解できますが、ネット検索ではターゲットを絞り込むことが結果的に応募数を増やすことにつながります。

応募者が「これは自分のための求人だ」と思えるよう、職種や雇用形態、経験の有無を明確に設定しましょう。

4. 応募を呼ぶ求人票作成の具体的テクニック

職種欄の活用(サムネイル機能)

職種欄は全角28文字以内で記載し、HWISではグレーに色分けされて目立つため、サムネイルとして機能します。

募集内容が一目でわかるキーワード(例:未経験者歓迎、教育体制充実)を盛り込みましょう。

仕事内容欄の工夫(働くイメージの提供)

仕事内容欄は全角360文字以内です。HWISでは冒頭の30文字×3行だけが表示されるため、特にアピールしたいことを冒頭に配置する必要があります。 一日の流れ教育体制を記載し、働くイメージを持たせる。さらに、賃金モデルを掲載することで、生活イメージを持たせる工夫も有効です。

特記事項欄の活用(求職者の不安解消)

特記事項欄(全角600文字以内)は、求人票のメイン項目で書ききれなかった情報を補足し、求職者が抱く不安を解消する重要な役割を果たします。

求職者が窓口相談で質問の多い項目:

経験の「あれば尚可」の内容

各シフトごとのスタッフ数 具体的な就業時間やシフトについて 賃金に関して 入社後の教育体制について スキルアップの支援体制など

これらを念頭に、入社後の生活がイメージできる賃金モデルや、将来のキャリアパス社内研修や資格取得支援などの補足情報を具体的に記載します。また、応募や選考方法についても記載します。

なわ社労士のコメント! (特記事項編)

求職者が応募を決断する最大の要素は、「入社後の生活や成長のイメージ」です。賃金モデルや教育制度、キャリアパスを特記事項欄に具体的に記載することで、応募への決断を後押しできます。

画像情報欄の活用(職場のリアルを伝える)

HWISでは、ハローワークに求人情報と一緒に会社の外観、作業風景、使用する器具や車両などを画像で登録し、視覚的な魅力を発信できます。

PR情報欄の活用(競争優位性の確立)

HWISの詳細画面でのみ表示される「求人・事業所PRシート」の利用は、同業他社が少ないため、差別化の絶好のチャンスです。

ネット検索している求職者は詳細情報をチェックする可能性が高いです。

記載推奨内容:社員・職員のための自社独自の取り組み、社長・社員からのメッセージ、福利厚生、教育制度、業績、育児休業の取得実績など。

なわ社労士のコメント! (PR情報編)

画像やPR情報は、貴社が「安心して働ける会社」であることを証明する視覚的・付加的情報です。

特にPR情報欄は、会社の魅力や業績、福利厚生といった文字情報だけでは伝わりにくい「文化」を伝えるのに最適です。積極的に活用し、競争優位性を確立してください。

5. 地域・業界における連携支援事例(一例)

人材確保対策総合推進事業の一環として、各地域では特定業界の支援が強化されています。

地域での連携事例(栃木県の場合) バス協会主催:「バス運転手体験会」「バス運転手入門セミナー」が実施されています(R6.11.30、R6.11.15実施事例)。 警備業協会:会員向けに「選ばれる求人票の作り方」セミナーが実施されています(R6.11.28実施事例)。 トラック協会:主催の「合同企業面接会」がサポートされています(R6.9.17-24実施事例)。 その他、介護・看護分野においても、企業説明会や業界の魅力発信セミナーが多数実施されています。

6. まとめ

ハローワーク活用は“情報戦”

求人票を出すだけでは採用できない時代。
「見せ方」「伝え方」「スピード」 で差がつきます。

なわ社会保険労務士事務所では、

  • 求人票のブラッシュアップ支援
  • ハローワークインターネットサービスの導入・運用サポート
  • 採用戦略全般のアドバイス

を通じて、全国の中小企業の採用を支援しています。

「応募が来ない」を「応募が集まる」に変える。
ハローワーク求人の見直しは、採用成功への第一歩です。