【令和8年施行】カスハラ・就活セクハラがついに義務化!企業が備えるべき「4大法改正」完全ガイド

令和7年の通常国会では、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、労働安全衛生法など、企業の労務や業務に影響を与える改正が数多く行われました。そして、令和8年(2026年)はこうした法改正の施行が続々と行われる予定です。

今回は、現時点で明らかになっている改正省令や指針、改正省令案や指針案をもとに、各法律の変更点と企業の実務対応について解説します。

労働施策総合推進法の改正(カスタマーハラスメント等)

カスタマーハラスメント(カスハラ)への対応

令和8年10月1日より、カスタマーハラスメントに対する企業の措置が義務化されます。指針案における定義や措置の内容は以下の通りです。

1. 定義

職場におけるカスタマーハラスメントは、以下の3つの要素を全て満たすものとされています。

1. 顧客等の言動であって

2. その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより

3. 労働者の就業環境が害されるもの

2. 社会通念上許容される範囲を超えた言動の例 

指針案では、以下の典型例が示されています。

内容が範囲を超えるもの: そもそも要求に理由がない要求、不当な損害賠償要求、土下座の強要など。

手段・態様が範囲を超えるもの: 身体的な攻撃(暴行、傷害)、精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)、威圧的な言動、継続的・執拗な言動、拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)。

3. 事業主が講ずべき雇用管理上の措置 事業主には以下の措置が求められます。

1. 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

2. 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

3. 職場におけるカスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

4. 職場におけるカスタマーハラスメントへの対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置(※カスハラ特有の措置)

5. プライバシー保護および不利益取扱いの禁止

特に「4」の抑止のための措置として、警察への通報、警告文の発出、対応の打ち切り、出入り禁止などの例が挙げられています。

パワーハラスメント防止指針の改正

令和8年10月1日施行の改正では、以下の点が明記されます。

自爆営業: 事業主が従業員にノルマを達成させるために、不要な商品の購入を強要したりする行為がパワハラになり得ること。

SOGI等のアウティング・強制: 性的指向・ジェンダーアイデンティティ、病歴、不妊治療といった個人情報を本人の了解なく暴露することに加え、カミングアウトを強制することもパワハラになり得ること。

男女雇用機会均等法の改正(就活等セクハラ)

令和8年10月1日より、就職活動中の学生や求職者に対するセクシュアルハラスメント(就活等セクハラ)について、措置を実施することが義務付けられます。

定義と典型例

定義: 事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されるもの。

典型例: インターンシップ中の性的な冗談やからかい、OB訪問時の性的な関係の強要、面接中の性的な事実に関する質問など。

事業主が講ずべき措置

基本的には通常のセクハラ対策と同様ですが、被害者が外部の人間であるため、以下の点が特徴です。

ルールの明確化: 求職活動等に関するルール(面談時間・場所の指定、使用するSNSの種類の指定など)をあらかじめ明確化し、労働者および求職者等に周知・啓発すること。

相談体制: 求職者等に向けた相談窓口の周知や相談体制の整備が必要となること。

就活等セクハラ防止のイメージ画像

女性活躍推進法の改正

令和8年4月1日より、情報公表の適用拡大や「えるぼし」認定基準の見直しが行われます。

情報公表の適用拡大

常時使用する労働者の数に応じて、以下の情報公表が義務化されます。

101人以上300人以下の企業: 「男女の賃金の差異」の公表が義務化。

101人以上の企業: 「管理職に占める女性労働者の割合」の公表が必須化。

指針では、単に数値を公表するだけでなく、「説明欄」を活用して要因分析や補足情報を公表することが望ましいとされています。

えるぼし認定・えるぼしプラス

認定基準の見直し: 基準を満たさない項目について、従来の実績改善要件に加え、「直近3事業年度の平均値が改善傾向にあること(①>②>③)」でも基準を満たすものとされます。

えるぼしプラス(仮称): 女性の健康支援に積極的に取り組む企業に対し、プラスの認定制度が創設されます。女性の健康上の特性に配慮した休暇制度や、研修等の実施が要件となります。

女性活躍推進法改正の図解画像

労働安全衛生法の改正

個人事業者等に対する安全衛生対策

労働者を使用しない「個人事業者等」も、労働者と同じ場所で就業する場合、保護や規制の対象となります。

注文者の明確化: 「仕事を他人に請け負わせる者一般」が対象になることが明確化されました。

災害報告: 令和9年1月1日より、個人事業者等の業務上災害について、所轄労働基準監督署への報告が必要となります。

高年齢労働者の労働災害防止

令和8年4月1日より、高年齢労働者の労働災害防止対策が努力義務化されます。 指針案では、「ゼロ災」を基本理念とし、以下の措置を講ずべきとしています。

1. 安全衛生管理体制の確立: 経営トップによる方針表明、リスクアセスメントの実施など。

2. 職場環境の改善: 身体機能の低下を補う設備・装置の導入(明るさ、滑りにくい床、涼しい休憩場所等)、高年齢者の特性を考慮した作業管理。

3. 健康や体力の状況の把握: 健康診断、フレイルチェック等の体力チェックの実施(望ましい措置)。

高年齢労働者の安全対策のイメージ画像

まとめ

令和8年は多くの改正法が施行される年となります。 特にカスタマーハラスメント対応や就活等セクハラ対策、女性活躍情報の公表拡大は義務となるため、就業規則の改定や相談窓口の整備など、計画的な準備が必要です。

また、個人事業者等の安全対策や高年齢労働者への対応など、安全衛生分野でも新たな対応が求められます。各施行日に向けて、自社の現状確認から始めましょう。