人材定着と利益確保へ!【2025年最新】両立支援等助成金 全6コース徹底解説と社労士活用術

「社員が辞めてしまう」「優秀な人材が集まらない」—これは多くの中小企業の経営者や人事担当者が抱える共通の悩みです。特に、育児や介護などのライフイベントと仕事の両立は、社員の離職の大きな原因になりがちです。

国が企業の「仕事と家庭の両立」を支援するために設けているのが、両立支援等助成金です。この制度は、出産、育児、介護、不妊治療など様々な家庭事情を抱える従業員のために職場環境の改善に取り組む事業主を資金面でサポートします。

両立支援等助成金を活用することで、会社は「社員が働きやすい職場環境を整えている会社」として、人材の定着率向上や採用力アップにつながり、結果として企業の成長や信頼性の向上にも結びつきます。

両立支援等助成金には、サポートしたい内容に応じて幅広い6つのコースが用意されており、多くのコースで中小企業が支給対象の中心となります。

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1. 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

コース説明

男性労働者の育児休業(育休)取得を促進するための雇用環境整備や業務体制整備を行い、実際に男性労働者が育休を取得した場合に支給される助成金です。本コースは中小企業のみが対象です。

支給は、個別の育休取得を支援する第1種と、企業全体の育休取得率の上昇を評価する第2種に分かれます。

種別主な支給額(1人あたり)要件概要
第1種 1人目:20万円 (4つ以上の雇用環境整備で30万円) 2・3人目:各10万円子の出生後8週間以内に一定日数以上(1人目:5日以上、2・3人目:10日以上など)の育休取得。
第2種 (取得率上昇)60万円(プラチナくるみん認定事業主は加算あり)申請年度の前年度を基準として育休取得率が30ポイント以上上昇し、50%以上となった場合など。
情報公表加算2万円育児休業等に関する情報を厚生労働省の関連ページ(両立支援のひろば)に公開。

なわ社労士のポイント!

第1種の助成金は「準備のタイミング」が命です。

支給要件となる雇用環境整備措置(研修実施や相談窓口の設置など)は、対象労働者の育児休業の開始日の前日までに行っていることが必要です。また、育児休業に係る手続きや賃金の取扱い等について、労働協約または就業規則に規定され、その規定の範囲内で運用していることが必要です。

間違いがちなQ&A

Q. 育児休業をすでに取得した社員がいますが、これから就業規則を整備しても対象になりますか?

A. 原則として対象外です。助成金は、仕事と育児・介護等を両立しやすい環境整備のためのものであり、助成金の対象となる休業や支援制度について、就業規則等に規定化されているものが対象となります。

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2. 介護離職防止支援コース

コース説明

家族の介護を理由とする離職を防ぐため、企業が「介護支援プラン」を作成し、労働者の円滑な介護休業の取得や、仕事と介護の両立を可能とする制度(介護両立支援制度)の導入・利用を支援した場合に支給されます。本コースも中小企業のみが対象です。

支給は、主に「介護休業」と「介護両立支援制度の利用」に分かれます。

区分主な支給額(1人あたり)要件概要
介護休業取得時・復帰時それぞれ30万円介護支援プランに基づき、連続5日以上(所定労働日ベース)の介護休業を取得し、職場復帰させた場合。
介護両立支援制度20万円~40万円(利用期間や導入制度数により変動)介護両立支援制度(短時間勤務、時差出勤など8種類)を合計20日間以上利用させた場合など。
環境整備加算15万円4つの雇用環境整備措置(研修、相談体制、事例提供、方針周知)をすべて実施した場合。

なわ社労士のポイント!

介護離職防止コースでは、介護休業終了後にプランを作成した場合や、プラン策定のための面談を介護休業終了後に行った場合は支給対象外となります。原則として介護休業開始前に作成しますが、介護休業開始と同時並行で作成することも可能です。また、対面が困難な場合は、電話やメール等による相談・調整を行い、その内容を記録することでも差し支えありません。

間違いがちなQ&A

Q. 介護休業の対象となる「連続5日以上」の日数の数え方は?

A. 介護休業は所定労働日ベースで連続5日以上の休業が要件となります。例えば、土日が休日の労働者が木曜日から翌月曜日までの5日間休業しても、所定労働日は3日となり、要件を満たしません。

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3. 育児休業等支援コース

コース説明

労働者の円滑な育児休業の取得と職場復帰の取り組み(育休復帰支援プランの策定と実施)を行った中小企業事業主を支援するコースです。本コースも中小企業のみが対象です。

支給は、「育休取得時」(連続3か月以上の育休取得)と「職場復帰時」(復帰後6か月以上継続雇用)の2段階で行われます。

区分支給額(1人あたり)要件概要
育休取得時30万円育休復帰支援プランを作成し、プランに基づき労働者に連続3か月以上の育児休業を取得させた場合。
職場復帰時30万円育休取得時の対象労働者が、育休終了後、原則として原職等に復帰し、6か月以上継続雇用された場合。
支給人数上限1事業主につき2人まで(無期雇用・有期雇用各1名限り)

なわ社労士のポイント!

このコースでは、育休後に原職等に復帰させる必要があります。原職とは、休業前に就いていた組織の最小単位の部署及び職務を指します。また、妊娠中に軽易業務への転換を請求し、軽易業務に就いていた場合の「原職」は、原則として転換前の通常の業務を指します。なお、原職相当職とされるためには、休業前と休業後の職務について、少なくとも厚生労働省編職業分類の中分類が異なっていないことが目安となります。

間違いがちなQ&A

Q. 産前産後休業(産休)に続いて育休を取得し、合計で3ヶ月以上休みました。これで育休取得時の要件を満たしますか?

A. 育休取得時の要件を満たすには、育児休業(育休)の期間が連続3ヶ月以上である必要があります。産前産後休業(産休)は労働基準法に基づく休業であり、助成金が対象とする育児休業期間には含めません

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4. 育休中等業務代替支援コース

コース説明

育児休業取得者や短時間勤務制度利用者の業務を代替する周囲の労働者への手当支給等の取組、または代替要員の新規雇用を行った場合に助成するコースです。

手当支給等(育児休業/短時間勤務)については、常時雇用する労働者300人以下の事業主へ対象が拡大されました。

区分支給対象事業主助成のポイント
手当支給等(育児休業)常時雇用労働者300人以下業務体制整備経費(最大20万円)と業務代替手当(最大120万円)を支給。
手当支給等(短時間勤務)常時雇用労働者300人以下業務体制整備経費(最大2万円)と業務代替手当(上限3万円/月)を支給。
新規雇用(育児休業)中小企業のみ代替期間に応じた額を支給。

なわ社労士のポイント!

このコースの「手当支給等」において、育児休業期間が1か月以上の場合に支給される業務体制整備経費は、業務の見直し・効率化と就業規則等の見直しに関する労務コンサルティングを外部の社会保険労務士等に委託した場合に20万円が支給されます。また、業務代替者に支給する手当は、代替内容を評価するものであり、労働時間に応じて支給される賃金(残業代など)であってはならないとされています。

間違いがちなQ&A

Q. 代替業務に関する助成金は、同一年度内に何人まで申請できますか?

A. 1年度(4月1日~翌年3月31日)につき、本コース全体(手当支給等(育児休業、短時間勤務)、新規雇用の全て)で、対象労働者延べ10人までを限度に支給されます。ただし、くるみん認定を受けている事業主は、令和11年度まで延べ50人を限度に支給されます。

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5. 柔軟な働き方選択制度等支援コース

コース説明

育児を行う労働者のために、法を上回る柔軟な働き方に関する制度(フレックスタイム、テレワーク、短時間勤務など)を複数導入し、制度の利用を支援するコースです。本コースは中小企業のみが対象です。

区分支給額(1事業主あたり)要件概要
制度2種類導入し利用者が生じた場合20万円導入した制度のうち1つを一定基準以上(合計20日間以上など)利用させること。
制度3種類以上導入し利用者が生じた場合25万円
支給人数上限1事業主あたり1年度5人まで

なわ社労士のポイント!

本コースの要件を満たすためには、導入する制度が育児介護休業法を上回る規定となっていなければなりません。例えば、短時間勤務制度は法定の「子が3歳に達するまで」ではなく、「子が小学校就学の始期に達するまでの間」利用できる制度として規定する必要があります。また、このコースの申請期限は、6か月間の制度利用期間の翌日から2か月以内です。

間違いがちなQ&A

Q. 法定水準を超える短時間勤務制度を導入しましたが、すでに1日の所定労働時間が6時間以下のパート社員も対象となりますか?

A. パートタイム労働者等の短時間労働者であって1日の所定労働時間が6時間以下の者についても、「柔軟な働き方を実現するための措置」の対象となりますが、事業主は短時間勤務制度を含む5つの選択肢の中から、2つ以上を選択して措置する義務があります。ただし、1日の所定労働時間が6時間以下であることをもって、直ちに「短時間勤務制度」を措置したことにはなりません。

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6. 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース

コース説明

2025年度に拡充されたコースで、不妊治療に加え、月経(PMS含む)や更年期といった女性の健康課題に対応するための支援制度を導入し、労働者が利用した場合に支給されます。本コースは中小企業のみが対象です。

区分支給額(1事業主1回限り)要件概要
A. 不妊治療30万円制度利用開始日から1年以内に合計5日(回)以上利用させた場合。
B. 月経30万円制度利用開始日から1年以内に合計5日(回)以上利用させた場合。
C. 更年期30万円制度利用開始日から1年以内に合計5日(回)以上利用させた場合。

なわ社労士のポイント!

本コースでは、従業員からの相談に対応する「両立支援担当者」の選任が必須要件です。

両立支援担当者は、事業主や雇用労働者から選任できますが、産業医など外部の専門家を選任することも可能です。また、不妊治療は男女問わず対象となります。更年期症状に係る支援についても、企業が就業規則等を定めた上で、男性労働者が利用した場合にも対象となります。

間違いがちなQ&A

Q. 月経のための休暇制度を導入する場合、無給としても助成金の対象となりますか?

A. 月経に起因する症状への対応のための休暇制度を無給とした場合、助成金の対象とはなりません

これは、あくまで法律の規定(労働基準法第68条)に沿った対応をしたに過ぎず、本支援制度の対象とならないためです。ただし、不妊治療と更年期における心身の不調への対応については、無給でも支給対象となりますが、有給とすることが推奨されています。

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その他

間違いがちなQ&A

Q. 助成金申請は、社会保険労務士以外の士業に代行を依頼することはできますか?

A. 原則としてできません。両立支援等助成金の申請手続きは、社会保険労務士法に基づき、社会保険労務士以外の者が業として行うことは制限されています。また、不正受給に関与した社会保険労務士または代理人等がいた場合、事業主は助成金が支給停止となるなどの措置(不支給措置)を受けます。

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まとめ:顧問社労士と始める確実な助成金活用

両立支援等助成金は、企業の「人を大切にする経営」を国が資金面で支援してくれる制度であり、優秀な人材の定着、ひいては企業の利益確保に直結します。

しかしながら、両立支援等助成金の申請には、以下の点で専門的な知識が不可欠です。

1. 就業規則の適正な整備

育児休業等に係る手続きや賃金の取扱い等について、労働協約または就業規則に規定され、その規定の範囲内で運用していることが必要です。法を上回る措置を行う場合でも、実際の運用だけでなく規定化されている必要があります。

2. 個別プランの迅速な策定

「介護支援プラン」は原則として休業開始前に策定が必要であり、終了後の作成は支給対象外です。

3. 不正受給リスクの回避

助成金の不正受給が発覚した場合、事業主名が公表され、助成金の返還や不支給措置(5年間支給停止)が行われます。

制度の内容が複雑に感じる場合や、申請の確実性を高めたい場合は、まず社会保険労務士に相談し、一歩を踏み出してみましょう。社労士は、制度設計から書類作成、申請代行までスムーズに進めることができ、貴社に合った最適な助成金活用戦略を立案できます。

助成金の活用を通じて、従業員も企業も成長できる職場づくりを共に進めていきましょう。顧問契約をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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(本記事は、主に厚生労働省が公開する令和7年度の両立支援等助成金に関する情報に基づき作成されています。最新の情報や詳細な要件、申請期限については、必ず厚生労働省のホームページや管轄労働局にご確認ください。)