【速報】同一労働同一賃金ガイドライン見直し案!賞与・退職金はどう変わる?最高裁判決がルール化へ

「パート社員にも賞与や退職金を払わないといけないのか?」 「正社員との待遇差はどこまで許されるのか?」


 中小企業の経営者にとって、頭の痛い問題である「同一労働同一賃金」
 令和6年11月21日、厚生労働省の労働政策審議会において、このルールの基準となる「ガイドライン(指針)」の見直し案が示されました。

 今回の見直しの最大の特徴は、これまでのガイドラインには記載がなかった「退職手当」が追加されたことや、「賞与」に関する考え方が、近年の最高裁判決を踏まえてより具体的に整理された点です。

 この記事では、公表された資料に基づき、今回示された見直し案の重要ポイントと、経営者が確認すべき事項についてわかりやすく解説します。

 結論:賞与・退職金の「不支給」には、より明確な理由が必要になります

今回の見直し案の核心は以下の3点です。

1. 「退職手当」がガイドラインに新設: 不合理な格差の判断基準が明記されました。

2. 「賞与」の記述が見直し: 性質や目的(功労報償・生活費補助など)を踏まえた「均衡」が求められます。

3. 「正社員確保のため」という理由は限定的: 人材確保の目的「のみ」で格差を正当化することは難しくなります。

これまでは「ガイドラインに書いていないから」と曖昧だった部分が、最高裁判決のロジックに基づいて明確化されることになります。

制度・法律の概要(見直し案のポイント)

資料に基づき、今回の見直し案で示された具体的な変更点を整理します。

1. 「賞与」に関する考え方(長澤運輸事件など)

賞与については、これまでのガイドラインの記述が見直されました。 資料では、賞与には「労働の対価の後払い」「功労報償」「生活費の補助」「労働意欲の向上」といった様々な性質・目的が含まれうると整理されています。

もし、パート・有期雇用労働者に対してもこれらの目的が当てはまる場合、正社員との職務内容の違いに応じた「均衡のとれた内容」の賞与を支給しなければ、不合理と認められる可能性があります。

2. 「退職手当」の追加(メトロコマース事件など)

今回、ガイドラインに「退職手当」の項目が新たに追加されました。 退職手当についても賞与と同様に、「賃金の後払い」「功労報償」の性質があるとされています。

正社員と非正規社員で職務内容や転勤の有無に違いがあっても、その違いに応じた「均衡のとれた退職手当」を支給せず、かつ代わりの措置(基本給の上乗せ等)もない場合、その相違は不合理と認められるリスクがあります。

3. その他手当の明記

以下の手当についても、それぞれの最高裁判決を踏まえた考え方が言及・参照されています。

住宅手当(ハマキョウレックス事件): 転居を伴う配転の有無などがポイント

家族手当・無事故手当(日本郵便 大阪事件)

病気休暇(日本郵便 東京事件)

夏季冬季休暇(日本郵便 佐賀事件)

実務でよくある誤解:「正社員の確保」を理由にできる?

ここで一つ、非常に重要な是正ポイントがあります。

「正社員は長く働いてほしいし、採用も大変だから待遇を良くしている(パートとは違う)」 経営現場でよく聞かれるこの理屈ですが、今回の見直し案では以下の通り明記されました。

「通常の労働者として職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があったとしても、その目的のみをもって待遇差が不合理ではないと当然に認められるものではない

つまり、「人材確保のため(正社員定着のため)」という理由だけで、賞与や手当の格差を正当化することはできない旨が明確化されたのです。

放置した場合のリスク

このガイドライン見直し案を無視して、従来の感覚のまま運用を続けると、以下のようなリスクが生じます。

損害賠償リスク: ガイドラインは裁判の判断基準としても重視されます。退職金や賞与の不支給が「不合理」と判断された場合、過去に遡って差額を請求される可能性があります。

説明義務違反:パートタイム・有期雇用労働法では、待遇差の内容や理由について、労働者から求められた場合に説明する義務があります。ガイドラインに沿った合理的な説明ができなければ、トラブルの火種になります。

今すぐできるチェックポイント

資料の内容に基づき、自社の規定を確認するためのチェックリストを作成しました。

• [  ] 賞与の支給目的は明確になっていますか?(功労報償、生活費補助など)

• [  ] パート社員にも賞与の支給目的(モチベーション向上など)が当てはまる場合、一定の支給や代替措置を行っていますか?

• [  ] 退職手当について、正社員のみ支給としている場合、職務内容の違いだけで説明がつきますか?

• [  ] 住宅手当・家族手当等の各種手当について、正社員のみ支給とする合理的な理由はありますか?

• [  ] 待遇差の理由として、単に「正社員の人材確保のため」という理由だけに頼っていませんか?

社労士に相談するメリット

同一労働同一賃金の対応は、単に「手当を出せばいい」という単純な話ではありません。

資料にもある通り、職務内容や配置変更の範囲、労使交渉の経緯などを総合的に考慮して「均衡のとれた内容」を設計する必要があります。

専門家である社労士に相談することで、以下のメリットがあります。

1. 最高裁判決のロジックに基づいた規定整備:賞与や退職金の性質を分析し、リスクの少ない賃金制度を提案します。

2. 合理的な待遇差の説明作成:従業員から説明を求められた際に、ガイドラインに沿った回答ができるようサポートします。

3. 代替措置の検討:基本給の調整や労使交渉の進め方など、実務的な解決策を提示します。

まとめ

今回のガイドライン見直し案は、以下の点がポイントです。

賞与・退職手当について、最高裁判決を踏まえた判断基準が示された。

• 「正社員の人材確保」という理由だけでは、待遇差は正当化されない。

• 各種手当(住宅・家族等)についても、個別の裁判例が参照されている。

これらは「案」の段階ですが、すでに確定した最高裁判決をベースにしているため、実務上の重要度は非常に高いものです。正式決定を待たず、早めの現状把握をおすすめします。

待遇差の説明に不安がある経営者様へ

「ウチの会社、パートさんに賞与を出していないけれど大丈夫かな?」 「退職金の規定、見直したほうがいい?」

少しでも不安を感じられた方は、ぜひ一度弊所にご相談ください。 貴社の実情に合わせた、無理のない制度設計とリスク対策を一緒に考えましょう。